SDRとNHK-FMの周波数特性

 1000円前後で入手可能なワンセグ受信用のUSBドングルと、ソフトウェアでSDR SoftwareDefinedRadioを実現することが密かに流行していますが、私はSDR#(SDRSharp)と、DS-DT305という安価に出回っているUSBワンセグチューナーを使って実験しておりました。詳細は"RTL-SDR"とか"RTL2832U"とか"ワンセグUSBドングル SDR"でググってみてください。

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さて、本日のネタはNHK-FMの放送波のノッチフィルターに見える不思議な周波数特性の件です。

現在のソフトウェアSDR#は、FMのMPXspectrumが表示できるようになりIFspectrumとAudioSpectrumとあわせて、FM放送波の状態を詳細に見ることができるようになりました。半年前のキャプチャーですが以下3枚は、いずれも当地神奈川県逗子市で受信したもので、上から順番にNHK東京(82.5MHz)、NHK千葉(80.7MHz)、NHK横浜(81.9MHz)です。

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ご承知の通りFM放送の音声周波数帯域の上限は15KHzです。右下がAudioSpectrumでS/Nがよくないのですが15KHzを超えたところで下がっていることがわかります。

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次いでNHK千葉ですが、東京よりさらにS/Nがいまいちですが、東京には無い14KHzあたりに200KHzくらいの幅の切れ込みが見えます。

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これはもっとも受信条件の良いNHK横浜です。やはり東京には無い14KHzあたりに切れ込みが見えます。このキャプチャでは、FM MPX Spectrumの76KHzのDARC(FM多重:VICSで使用)のサブキャリアもはっきり観察でき、主信号のレベルにあわせてレベルコントロール(LMSK)がされていることも観察できます。

この切れ込みの理由について、諸説ありますが、いまだに正解がわかっていません。

東京に無くて、千葉・横浜など県域局にはあるのは、まず思いつくものとして、NHK-FM全中回線の音声帯域に番伝信号(いわゆるネットキュー)を多重するため、それを放送本線から取り除くための強力なノッチが入っているのだと思っていました。

つまり、FM放送局すなわち超短波放送局の総合周波数特性は、無線設備規則第三十六条において

(総合周波数特性)
第三十六条の三  超短波放送を行う地上基幹放送局の送信装置の総合周波数特性は、その特性曲線が、五〇ヘルツから一五、〇〇〇ヘルツまでの変調周波数において、総務大臣が別に告示する場合を除き、別図第二号に示す時定数五〇マイクロ秒の理想的プレエンフアシス特性の曲線とプレエンフアシス特性の許容限界の曲線との間(これらの曲線上を含む。)にあるものでなければならない。

と規定されていますが、「総務大臣が別に告示する場合を除き」という例外があり

その例外は郵政省告示第537号に示されております。

http://www2.arib.or.jp/johomem/pdf/1968/1968_0537-20110629.pdf

で、これだと思っていたのですが、独自の調査と関係者(!?)の証言によると否定的なご意見。

現在のNHK-FMの全中回線は2008年度から新回線に移行しておりますが

https://www.nhk.or.jp/bunken/book/regular/nenkan/pdf09/09_332_348.pdf の337頁

http://www.ntt.co.jp/journal/0902/files/jn200902036.pdf

番伝信号は、データとして伝送されているから放送本線には載せていないという証言がありました。

また、NHK放送局と送信所を結ぶ無線回線(STL)が、周波数移行にともないデジタル化されたことで、圧縮伝送となったため、何らかの理由でフィルターを入れているのではないか、つまりデジタルSTLのスペック起因説というのもありました。これとかね。

http://www.jrc.co.jp/jp/company/html/review60/pdf/JRCreview60_16.pdf

知ったか素人の邪推で言えば、送信所の変調機にapt-xで圧縮伸長した20KHzまでの音声信号が入力するとプリエン後の総合周波数特性に不都合が生じたのでSTL側にフィルタいれたとか、そんなことではないかなあ。自分の体験としてちょっと気になるのは、現在の回線に移行した時期に、NHK横浜が、マルチパスも無いのに歪感(ディエッサを入れたくなるような擦過音の歪)があって、クレーム寸前でしたが、その後改善されたようですが関係あるかな。

いずれにしても、結論は出ていませんが、周波数特性を重視したいなら、NHK東京を受信するのが良い(ただ聴感上違いわかるかなー)ですね。