SONY FM/AMチューナー ST-A40の「ワイドFM対応」をおこなった。
このチューナーは1979年発売のもので、当時の価格は34000円。いわゆる廉価版だが、発売年のグッドデザイン賞も受賞している。2年くらい前にハードオフのジャンクで500円で購入した。ジャンクゆえ使っていると突然周波数がずれる、ダイヤルが空回りするなどの代物だったが、周波数ズレはフロントエンド部の半田不良の修正、ダイヤル空回りは、ダイヤル糸をあり合わせの5号のPEライン(釣り糸です)に交換して、使える状態にしていた。
今月から首都圏でも「ワイドFM」が放送開始し「ラジオは今買え」というコピーの広告を多く目にしたが、「ワイドFM」が受信可能なラジオは今買わなくても当然何台も持っている。が、PLL方式のFMチューナーやラジオは90MHzが上限で受信できない。それらの改造など面倒だし出来るかわからない 、出来ても海外仕様の88-108MHzとかになるのが関の山なので、とりあえず手持ちのアナログチューナーを「ワイドFM対応」してみることにした。(改造でも改修でもなく、単なる調整である)
さっそく蓋を開けて、SG使ってシンプルな3連バリコンのフロントエンド部の調整をしてみると、受信周波数上限を95MHzあたりまで上げた場合、下限は78MHz付近になった。受信帯域幅そのものを拡大することまではしない。78MHz以下の放送局は放送大学学園、インターFM鶴見中継局、コミュニティFMくらいなのでこの際捨てることにして、78MHzから95MHzまでカバーするようにした。実質、首都圏はIBS茨城放送の94.6MHzを除けば93MHzが上端※なのでそこを上限にすれば77.1MHzを救えるが、ここで良しとする。古いFMチューナーであってもネットで回路図やサービスマニュアルが手に入る世の中だが、この機種については、探し方が悪いのかもしれないが、ほとんど情報がない。(海外モデルが別の型番であるのかなあ)
さて、次の問題は周波数目盛りをどうするか。この機種は当時のソニーらしい直線基調でシルバーのヘアラインの自分好みのデザイン。その雰囲気を壊さないように考えてみた。目盛りはシンプルなつや消しのアルミプレートだ。あたり前だがオリジナルは76MHzから90MHzである。高級チューナーではないので、目盛りは等間隔ではなく高い周波数の方が間延びしている。
SGで1MHzおきに試験信号を出して、周波数目盛りの位置をドラテにプロットし、その間隔通りの寸法で、テプラ作成ソフトSPC10で周波数目盛りを作成し、手持ちのシルバー24mmのテプラに印刷してみた。切り出して貼り付けてみる。このシルバーは色が濃く、いまいち色が合わないが、遠目に見ればそれっぽく出来上がった。
目盛りを貼り替ええた後の微調整中。
93MHz ニッポン放送(補完FM局)を受信中
90.5MHz TBSラジオ(補完FM局)を受信中。
このスケールだと全体の2/3をアナログテレビ放送のVHF1chが占有していたことになる。そこを再利用して始まったのがワイドFM。かつてガードバンドとされていた87MHz付近から90MHzも利用が始まり、FMは賑やかになった。アナログTV跡地の周波数活用で初めて恩恵を感じた気がする。
この手の調整サービス、メーカーや放送局はやらないが、世の中にあってもいいかもしれない。
※RFラジオ日本は92.4MHzが割当てられているが、まだ放送開始していない。