NATIONAL R-1028という昭和47年発売のラジオです。どういう訳かラジオに興味をもった私が親にねだって買ってもらったものです。おそらく小学校1年生か2年生のときでした。西友浦和店の家電売り場で、黒が欲しかったんですが品切れで仕方なく赤にした気がします。
何度か自己流修理を重ねて、40年を経過した今も動作します。回路は典型的な6石スーパーで、トランジスタはゲルマニウムトランジスタです。裏ブタに周波数を記したシールが貼ってあります。自分が書いて貼ったものです。
シールのかすれた文字を「解読」すると
NHK NO1 590KHz
NHK NO2 690KHz
TBS RAZIO 950KHz
BUNKA HOSO 1130KHz
NIPON HOSO 1240KHz
RAZIO KANTO 1420KHz
FEN 810KHz
と書かれています。歴史を感じるのは、周波数がまだ10KHz刻みで、1978年11月23日の9KHzステップ移行前であることがわかりますが、面白いのは表記が英語になっていなくてローマ字?になっていることです。ラジオがRAZIOとか(笑)自分自身の歴史を感じます。
さて、今回の修理は、音割れが酷いのを直したくて調査を始めたのがきっかけです。ボリュームはずいぶん昔に修理されています。ガリになったためです。今はこのスイッチ付ボリュームも入手が難しいようです。またケミコンも交換しています。
オシロスコープで出力波形を観測すると、音声信号の半波側しか出力されていませんでした。この音割れの原因は、AFアンプ前段のドライバートランスの2次側が断線していたためでした。
故障したトランスの特性をテスタで調べて、似たようなトランスを探しますが、小型ラジオ用に特別に作られたものらしく、見つかりませんでした。巻線比とインピーダンスが似たトランスを秋葉原のシオヤ無線で購入しましたが、ひとまわり大きい。
無理やり取り付けてみると、斜めに実装してなんとか入りました。裏ブタが閉まるかな・・ギリギリ閉まりました。
さらにスピーカーも交換して現在に至っています。B級プッシュプルアンプの力強くひずみ気味の音が70年代を感じさせます。こんなに長い付き合いになるなんて、昔の自分は想像していたのでしょうか。このまま天国まで一緒かもしれませんね。