電気と電子と電波の日記

自分のための備忘メモです

NHK-FM開局50周年にちなんで

今年の3月1日はNHK-FM開局50周年。特別番組や特設サイトが設定されている。

www.nhk.or.jp

www4.nhk.or.jp

開局50周年ということは、50年前の1969年3月1日がNHK-FMの開局日ということになるが、放送では実験放送から本放送になった日、と紹介していたが、特設サイトではその手の説明はほとんどない。

Wikipediaなどで改めてNHK-FMの歴史を見ると、1957年から1965年にかけて、AMの中波放送をおこなっている各地のNHK放送局に、FM方式の超短波放送の実験局・実用化試験局が順次整備され、1969年3月1日にそれらの局の無線局免許が、正式な「放送局」(現在でいえば地上基幹放送局)になった、ということが読み取れる。この年は民間のFMも本放送が始まった年でもあり、FM方式の超短波放送の実用化の節目の年であるが、それまでの複雑な経緯や背景は、自身の今後の研究課題だ。

いずれにしても、開局50周年といっても3月1日にどんな意義があるのかを、一般には説明しづらいのはよくわかる。

 

  私のNHK-FMとの出会いは、1976年(昭和51年)頃。祖父のラジカセ(ナショナルRQ-237)や、母の嫁入り道具のコロムビア製の真空管式ステレオで聞いたのがはじめて。音の良さにはおどろいたものだった。この頃のNHK-FMは、大都市圏に含まれていて県単位の放送ができない放送局でも続々と開局した後で、私が育った埼玉県では、1971年(昭和46年)にNHK浦和放送局※のFM放送が始まっている。(※現在は「NHKさいたま放送局」に改称)

 当時、FM放送は、NHKFM東京の2局であることは新聞のラジオ欄で知っていたものの、ラジオのダイヤルを回すと、NHK-FMがいろいろな周波数で聴こえることが不思議でならなかった。その理由は単純で、浦和市の自宅は比較的電波の条件が良く、東京、浦和、千葉、横浜、群馬、水戸、宇都宮・・関東地方のNHK各局が受信できていたからなのだが、そんなことを知る術は無かった。

 それらが別々の放送局で、かつ別々の放送をする時間帯があることがわかったのは、NHK浦和放送局を訪問してからのこと。学級新聞の取材だったかもしれない。訪問してわかったことは、つぎのようなものだった。

NHKのテレビとAM放送は、関東地方全域で同じ内容だが、FM放送だけは県別の放送ができるようになっている。

NHK浦和放送局はテレビ放送はおこなっていないが、FM放送のためのスタジオがある。FM放送は、普段は東京と同じ内容を流しているが、ニュースや一部の番組は、ここで切り替えて放送している。

・荒川の河川敷にあるロケットのような塔が送信所である。

そんな説明をしながら、職員のお兄さんがスタジオを案内してくれたり、ラックの機械のスイッチを操作して、こちらはNHK浦和放送局です、というような音を出してくれた記憶がある。今にして思えば、回線架やSTL架に収容されたコールサインを自動送出するための再生装置(当時だとテープカートリッジかな)で、その音声は「JOLP-FM NHK浦和FM放送です」だったのかもしれない。その後、NHK浦和放送局には、自由研究とか番組の観覧とかで何度も訪れている。

 1978年(昭和53年)頃のパンフレットが手元に残っている。表紙は平野原送信所のタワー。当時、ボーイスカウトで荒川の土手を夜通し歩く夜間ハイキングしたときには遠くからゴールの浦和方面を示す良い目印だったが、近づくにつれ、一番下の位置でゆっくりと点滅する赤い航空障害灯が、まるで一つ目小僧のように見えて怖かったのを覚えている。

 埼玉のローカル放送として紹介されている、「ゆうべのひととき」と「うらわミュージックサタデイ」は話題は尽きないので別の機会としたい。

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 このパンフレット、浦和放送局の業務を説明したイラストが楽しい。

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このイラストでは、FM放送の電波は、東京タワーからの電波が一度、浦和放送局に届いて、そこからFM平野原送信所に送られてお茶の間に届くような絵になっている。

この時代、NHK-FMは放送波中継(他の放送局の電波を受信して、再び別の周波数で送信する)が県域の親局レベルでもおこなわれていた。

手持ちの1984年(昭和59年)のNHK年鑑のコピーに掲載されている「FM放送回線系統図」でも、浦和放送局は「放送波中継」となっている。親局であるNHK東京FMの受信は、放送局(演奏所)のタワーに設置されていた八木アンテナで、放送局(演奏所)から送信所間はSTL(900MHz?)だった気がするが、定かではない。

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いま改めてこれを見ると、この時代には、既に多くの局が電電公社H2規格ディジタル回線で接続されているものの、大都市圏はまだまだ放送波中継が現役だったことがわかる。 NHK-FMは全国中継回線が整備される前から、各地の拠点局を中心とした拠点ブロック単位の放送波中継ネットワークで整備されていたことや、経済的な理由もあったのだろう。今なら都市雑音やセキュリティの点からも難しいはずだ。

他の地域に目を向けると、北海道の札幌から北見に至る放送波中継と自営回線を組み合わせた多段中継とか、西日本の回線構成とか見ていて飽きない。NHK年鑑の運用技術の章は、技術の歴史を研究するには聖書のようなものであるから、70年代後半までのテープネットから回線へのの変遷など、もっと深堀してみたいものだ。

また、同じNHK年鑑には各局別ローカルの一覧も載っていた。オリジナリティ溢れたローカル番組をハシゴした時代が懐かしい。

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NHK-FMは、かつてデジタル化や廃止論もささやかれていたが、頑張っている。これで充分なのだから、無理しなくてもいいと思う。

 

ADF4350 PLL基板の動作確認

ADF4350のPLL基板をebayで買って放置していたが、ようやく動作確認をおこなった。

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とりあえずの確認なので、arduino(nanoの廉価品)を接続してレジスタに値を書き込む。 

https://www.analog.com/jp/products/adf4350.html

GitHub - darkbyte-ru/ADF4350: ADF4350 arduino library

arduionoとAD4350との接続は
 D10-LE

 D11-DAT

 D13-CLK

ArduinoのサンプルスケッチはLEをpin10に、RefFreqは基板に載っているTCXOにあわせて25MHzに変更。430MHz帯で発振させると、430MHz帯の無線機でキャリアを確認できた。

基板上のLDpin(PLLのLock検出)のLED(D3)が光らないので、REG5のLD PIN MODE を明示的に送るようにAD4350.cppを変更してみたら、lock時に光るようになった。

 さてどこまで発振できるかなと試すと4.5GHzまではなんとかいけた。

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(レベルが低いのは基板とスペアナを直結しておらず空間で結合しているから) 

さて、これで何をするか。1200MHz帯を受信するコンバーターを考えてみますか。

 (参考)

http://www.kh-gps.de/adf4351.htm

https://www.ntms.org/files/Apr2017/Arduino_Controlled_ADF4351.pdf

(追記)

なんとAruduinoNanoモドキの入出力のロジックレベルは5Vだった。ADF4350は最大定格はVCC+0.3V。壊れなかったようだが、アブナイアブナイ。

 

Noragateway+Jumbospot(MMDVM-HS)+Bluetooth

NoraGatewayのandroid版がMMDVMとのBluetooth接続に対応したので試してみた。

https://kdk.ddns.net/kdk/index.php/10-noragateway/47-noragatewayv001-pr25android

ハードウェアはMMDVM-HS互換機のJumboSpotと手持ちのbluetoothモジュールHC-06。このbluetoothモジュールは技適不適合なのであくまでも室内実験にとどめる。Jumbspotのアンテナ端子は50Ωで終端。

bluetoothモジュールとJumbospotのシリアル接続は以下の通り。ハマったのはbluetoothモジュールのシリアルポートの伝送レート。デフォルトの9600bpsではつながらず、Jumbospot側は115200bpsと気づくのに時間を要した。bluetoothモジュール側のレート変更方法はBluetoothモジュール HC-06のボーレート変更 | ネクストステップ サポートBlogあたりを参考にした。

電源はjumbospotが3.3Vなので、単三アルカリ電池2本でどのくらい持つか、試してみる。bluetoothモジュールは信号レベルが3.3V系だが電源電圧は5Vなので、3.3V→5Vの昇圧モジュールを使用。

 

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スマホbluetoothモジュールをペアリング。Noragatewayをスマホにインストールして起動すると、無事動作した。

スマホはNTTdocomoのLTE回線。Noragatewayはプロキシサーバーを利用するように設定。リフレクタはもちろんJARL multi_forward_linkで地元D-STARレピーターも利用できた。

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これなら車や移動先に持っていくのも気軽で良い。真面目にやるなら技適の通ったbluetoothモジュールに変えたいが、結構高い。このあたりでできないか今後検討。(後日追記 これはBLEだからだめそう→)

マイクロチップ Bluetooth RN4020−V/RM123: 無線、高周波関連商品 秋月電子通商-電子部品・ネット通販

電源も5Vから3.3V降圧にしてモバイルバッテリーを使った方が良いかもしれないが、単3アルカリ2本で数時間程度持つなら、長時間連続運用しないならそれでも充分か。

 

AIcamera(実験中)

interface2018年12月号の特集に沿ってraspberrypi3 でAIカメラ実験着手。

TnesorFlowがうまくinstallできずはまったが、環境は構築できたところ。

 

 

 

Interface(インターフェース) 2018年 12 月号 https://www.amazon.co.jp/dp/B07H5VVD6P/ref=cm_sw_r_other_apa_i_KN6rCbCS89V4A

ラジカセ修理 SONY CFS-E15

所用の途中で初めて立ち寄ったハードオフでジャンクを入手。「ラジオは鳴るが、テープ回らない」という状態。価格は強気の1000円。SONY CFS-E15という1993年のモデルで、バブル期に流行した曲線基調のバブルCDラジカセ全盛時代の廉価版で、お宝ジャンクとしての価値は無いが、良く見ると珍しくAMステレオに対応している。AMステレオ放送はいまや首都圏ではニッポン放送だけになってしまったようで、終了するのも時間の問題だろうから、無くなる前に聴いておきたい。また、いま我が家では、古いカセットの整理が課題になっているが、さすがにSONY TC-D5Mの仕様 ソニーを古テープの試聴に酷使するのも気が引けるので、お手軽な再生機がちょうど欲しかった。いまさらチープな中国製の新品をわざわざ買うのも嫌。ベルト交換で直ればいいかなと、とつい買ってしまった。

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早速分解。言うまでもないがSONY製品は分解しやすく内部もわかりやすい。幸いにも内部は比較的綺麗。製品はマレーシア製だが、基板もメカもスピーカーもSONYのロゴが燦然と輝く。部品もほとんど日本メーカー。今の製品よりも数段贅沢に見える。基板全体を見回すとコンデンサの液漏れなど外観的には問題ない。ラジオ基板、アンプ・コントロール基板、カセットテープのトランポート部にわかれている。ラジオ基板は表面実装ありの両面。チューナーICがCX20111、AMステレオデコーダICがCX857と、同世代のSONYのFM/AMステレオラジオSRF-M100で見たような構成だ。 アンプ、コントロール基板はベークの片面。カセットテープ録再系のアンプは東芝TA2036N。 パワーアンプはSANYO LA4593。メカニカルなトランスポートなので制御系はシンプルで数個のトランジスタのみ。

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録再ヘッドは段差を感じる程度に減っている。ピンチローラーは大丈夫そう。案の定、ベルトは切れているばかりか、プーリーにぐるぐる巻き込んで固着している。丁寧に取り外して輪ゴムで動作確認すると、トルクが出ないがテープが走行して再生音が出ることはわかった。最初、テープもラジオも片チャンネル出なかったが、ヘッドホン端子の接触不良が原因だった。

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たいした特徴のない機種なので、わざわざ修理やレストアする人もいないのか、ネットを漁っても関連記事があまり出てこない。サービスマニュアルは一部がネットでみつかった。早速参考にする。

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確認の結果、まともなベルトに交換したら実用になりそうなので、早速Amazonで注文。

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Amazonお急ぎ便のおかげで翌日には到着。適当な長さのものを装着。再生ピッチの調整と清掃をおこなってめでたく復活。懐かしいテープの音がとても新鮮。これなら古い120分テープも気兼ねなく再生できる。ニッポン放送AMステレオも受信できた。しばらく楽しめそうだ。


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ちょっとした達成感と、大量のゴムベルトが残った。これを消費しようと考え出すと、レストアにハマりそうで、危ない危ない(笑)

 

 ところでこのラジカセはヘッドが回転するタイプのオートリバースだが、最近の機種にはすっかり見かけないが、こういうことか。

“失われた技術”になるオートリバース - BCN+R



 

プリンタ修理 Canon MP610

自宅のプリンタ Canon MP610がエラーコード「6A00」で印刷できなくなった。

MP610は2008年1月に購入して以来、2012年頃に故障してメーカーで一度修理(5年延長保証期間だった)した以外、大きな故障もなく10年超で運用してきた。導入時の記念写真が残っている。

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このプリンタ、CD/DVDのレーベル印刷やスキャナーなど機能が充実。980円のbluetoothアダプタも付けていてワイヤレスにも対応していて、子供の学校や塾通いのためにA3対応のbrotherの複合機を導入した後も現役だ。いまだに根強いファンもいらっしゃる。

MP610が最高・最強だね!

今回のエラーのきっかけは、印刷にかすれが出て、何度も「ヘッドクリーニング」をおこなっても改善しないので、「強力ヘッドクリーニング」をやったら「6A00」エラーに至ったもの。もうダメポか。

このエラーに悩まされた人は多く情報は豊富だ。

価格.com - 『「6A00」の対処法』 CANON PIXUS MP600 のクチコミ掲示板

 

ネットを漁ると、英語版の初期のサービスマニュアルがあり、

http://internaute.free.fr/depannage_canon/mp610/mp610-sm.manuel.reparateur.pdf

それによれば、6010エラーについての記載がある。

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APは何の略? air pump?  auto purge?

 

 インクジェットプリンタは、その名の通りインクを精密なノズルから噴射して印刷する。使うインクを溜めておくタンクが普段購入するインクカートリッジ。ノズルの部分はプリントヘッド(Canonの場合)という。インクは固まると厄介なので、印刷前や印刷後にはインクの載ったプリントヘッドを自動的に端に移動させて、余分なインクをポンプで吸ったり、ワイパーで拭いたり、使用していないときのインクの蒸発を防いだりといった重要な役割をしている。この部分は「パージユニット」というらしい。

 印刷がかすれる場合がたいていノズルにインクが固まって出にくくなっている場合が多いので、ポンプで圧をかけてインクの通りを良くするのが「クリーニング」である。特に「強力クリーニング」などしようものなら、あっという間にインクを消費する。吸ったインクはプリンタの底部に内蔵された「廃インク吸収体」というスポンジのようなものに吸収されるが、使用期間が長くなったりクリーニングを繰り返すとやがて廃インクも満杯になるし、ゴミやホコリでインクがうまく吸い込まれないとインクが溢れることになる。

 このプリンタの場合、パージユニットや廃インクのトラブルは、自分で復旧できないエラーになってしまい、通常は手も足も出ない。すでにメーカーの修理対応も終わっているので、廃棄するか自分で修理するかの2択となる。

  ZuBolla.メモ キヤノン パージユニット・廃インクタンクの清掃・洗浄方法

 

今回我が家で発生した問題は、「印字がかすれた」→「クリーニングした」→「パージユニットになにかトラブルが発生しエラー6A00で停止」というものらしい。

「印字がかすれた」のは、プリントヘッドの掃除や交換で直ってしまうことが多い。交換したいところだが、メーカーは新しい機種を買わせたい事情もあってか、プリントヘッドの部品供給をやめてしまっている。おかげでオークションなどにはプリントヘッドの偽物や再生品があふれている始末だ。

今回は黒インク9BKが担当する部分がNG。プリントヘッドを取り外して電子回路部分に水やインクがかからないようにしながら拭いたり洗ったり。乾かしてテストすると、6A00は出なくなり、印字も正常になったので、しばらく様子見をしようとしていたら、数時間後に再び6A00発生。

こうなったらもう分解だ。先人のブログを参考に作業開始。 

CANON MP610 プリンターを自分で分解・修理してみる【2018】 - MP610が最高・最強だね!

 パージユニット部分には、紙片が残っていたりインクが溢れて汚れていたり。アルコールとティッシュで清掃。ヘッドに当たるスポンジのような 部品は洗ったら真っ白になった。

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組み上げ後、ヘッドの位置調整をおこない、いまのところエラーも出ずに動作している。

我が家の場合、リサイクルインクも使う。由って今後もインクトラブルはあるだろうが、パージユニットの異常が起きると面倒なので、プリントヘッドのメンテナンスをマメにすることにして、安易にクリーニングしないようにしたい。特に強力クリーニングは避けたい。

なお

キャノン MP610のサービスモード(メンテナンスモード)の検証 – パソコンと家電の豆知識

でチェックしたところ、廃インク吸収体の利用率は74.2% 印字枚数はトータル7953枚だった。

 

(参考)前回修理時の伝票。2012年に「電源入らず」で制御基板とプリンタヘッドを交換している。

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