OBD

最近のクルマは、コンピューターが搭載されていて、エンジンの噴射制御に始まり、様々なものが電子制御されるようになっている、というのは漠然と知っていたものの、どうせブラックボックスだし、走り屋のアングラチューンっぽいし、それ自体にさして興味は無かった。

  私のクルマは、2002年製造のプリウス(NHW11)で、ハイブリッドシステム自体がハイテクの塊でブラックボックスである。ディーラーでの点検でメカニックさんから「コンピューターをチェックしたが異常が無かった」というような話を聞くと「どうやってチェックしているんだろう」と興味がよぎるものの、「どうせブラックボックスなんだし」で終わっていた。

 その理解を変えたのが、先日のディーラーでの体験だった。ある日、運転中に突然エラー表示が出て、あわててディーラーに駆け込むと、メカニックさんは、エンジンルームを診るでもなく、ハンディーターミナルのような機器を、ハンドルの下の白いコネクタに接続して、データを取り始めた。データをダウンロードしているようなバーグラフが表示されたあと、ログのようなものが表示されるのが見えた。
  白いコネクタは、私の車の場合、運転席に座ったときに、ハンドルの下の膝くらいの高さの目立たない場所にある。こんなところにコネクタがあったのか、と驚いた。


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  メカニックさんは、画面を見ながら「冷却系のダイアグ残ってますね」と言った。「ダイアグ」はダイアグノーシス(diagnosis)のことで、車に搭載されているコンピュータ(一般にECUと呼ばれる)による車自身の自己診断機能のことである。それが「残っている」ということは、自己診断の結果、何らの不具合があることを示す履歴(ログ)が残っているということのようであった。ダイアグを見るにはどうしたら良いのか?「白いコネクタ」を眺めながら、興味が沸いてきたのである。
  エラーは冷却水の温度上昇を示すものだったが、その話はここでは触れない。
 
 帰宅後、ネットで「ECU ダイアグ 解析」というような検索をすると、出るわ出るわ、業界プロ向けの情報から、ユーザーのブログ、関連するグッズ、それもプロ向けからクルマのマニア向けの広告、さらにはpanasonicのような大手家電メーカーのカーナビのオプションまで、幅広い情報が出てきた。なんだ 、すっかり一般的な物ではないか。世の中に置いていかれた感じがした。

そもそもどういう仕組みなのか、自分の理解を整理すると、

・自動車の自己診断機能は、OBD(On-Board Diagnostics)と呼ばれる。

・現在主流なのは、その第二世代のOBD2とよばれるもの。世界多くの自動車メーカーで採用され、多くの国の法令で採用が義務づけられている。自動車大国日本は言うまでもない。(搭載していない車は販売できない)

・「白いコネクタ」はOBD2で標準となっているDLC(Data Link Connecter)と呼ばれるもので、ピン配列(16pin)や故障コード(Diagnostic Trouble Code)の体系は標準化されている。その中でメーカーや車種特有の故障コードを割り当てるエリアも確保されている。

通信プロトコルは、世界に大別して5種類あるが、日本車とヨーロッパ車はISO9141 ISO9141-2(通称"K-LINE"と呼ぶらしい)が採用されている。

・車に接続して情報を取り出す装置は、スキャンツールと呼ばれる。

・スキャンツールは、自動車メーカーが用意したプロ専用のものと、公開されている規格をもとに、一般向けに販売されているものがある。

・一般向けに販売されているものには、DLCとPCをケーブルで接続し、PC上で利用するものやDLCに接続するアダプタ(ドングル)にbluetoothが内蔵されていて、スマートフォン等に無線接続して利用するものがある。

・得られたデータを解析して表示するソフトも、Windows Android iOSの各OSごとに、フリーウェア、シェアウェア、市販品など多種多様。

・一般向けの製品は、数千円程度で購入できる。bluetoothのアダプタは、千円程度で購入可能である。

また、解析用途ではなく、速度やエンジン回転数をカッコよく表示するカー用品として販売されているものもある。

・OBD2の通信プロトコルに対応したICチップは、ELM社(カナダ)のELM327がデファクトスタンダードらしいが、特殊なプロトコルではないので互換(模造?)チップが多くあるようだ。

・通信に用いられるコマンド体系はモデムでおなじみのATコマンドと同様らしい。

様子がわかったところで、Amazonbluetoothのドングルタイプのものをひとつ購入。プリウスNHW11の場合、ELM327のVer依存で動く動かないといったユーザーレビューがあるので、旧Verとされているものを選択した。
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GooglePlayで適当なソフトをダウンロードして、接続してみるとあっけなく動作した。得られるデータに限りがあり、スピード、回転数、温度、バッテリー電圧くらいのものであるが、エラーがあればエラーコードを表示できる。

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今回の話のきっかけ、P3125というダイアグです。インバータ異常を示す。その後、この表示の原因となった故障は修理したので、このあとの画面サンプルではエラーコードは表示されていない。
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アプリにコマンドラインもあるが、もう少し一般受けするカッコいい表示例がないとブログとしてはいまいちか。
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これだと少しはマシか?

ドングルタイプの多くは電源スイッチが無く、コネクタに付けっぱなしにするとキーOFFでもバッテリーを消費するので注意が必要だ。

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ドングルを装着するとこんな感じ。


常時使用するつもりはないが、新たな世界を垣間見えて楽しめた。

追伸

http://www.e-comtec.co.jp/taiou/set/obd.pdf
をよると、プリウスNHW11の記載は無いが、おそらくECUはほとんど同じであろうプリウスNHW10の場合
OBD2で取り出せる情報は

・回転数/スピード
・点火時期
・スロットル開度
・エンジン水温
・吸気温度
・吸気流量
・インジェクション噴射率/時間率
・燃費
・ハイブリッド項目表示

とのこと。