電気と電子と電波の日記

自分のための備忘メモです

FM PORT JOWV-FM sign off

 今日2020年6月30日はラジオ業界にとってはショッキングな日である。愛知県の外国語FM放送局「Radio-NEO」と、新潟県域のFM放送局「FMPORT」が閉局する。

 「RadioNEO」(株式会社RadioNEO)は、放送法上は「外国語放送をおこなう超短波放送局」で、放送対象地域は「名古屋市を中心として同一の放送番組の放送を同時に受信できることが相当と認められる区域 愛知県名古屋市瀬戸市豊田市岡崎市常滑市豊橋市及び静岡県浜松市

 「FM PORT」(新潟県民エフエム放送株式会社)は、新潟県を放送対象地域とするいわゆる県域の「超短波放送局」である。

 普通の人から見ればどちらもFM局だが、外国語放送をおこなう超短波放送局が閉局するのはこれで2度目だが、コミュニティFMではないフツーの県域のFM放送局が閉局するのは日本の放送の歴史でも初のことである。


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 いずれも株式会社としての経営が立ち行かなくなったのが閉局の理由だが、ネットワークに属さない独立局として頑張ってきたこと、私個人がお世話になった方がそれぞれの局の開局に携わっていただけに(一人は故人、一人は別の局で活躍されている)、他人事でない気がして、今日はせめてRadikoプレミアムのエリアフリーで最後の放送を見送っている。

 FM PORTは開局直後に訪問したことがある。当時の写真を紹介しておく。訪問時点の写真なので今とは違うと思うが、もう時効ということで許してほしい。

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マスターはKOWAのAPM、DAD、NECSTLで構成されているシンプルなマスター室だった。モニターもYAMAHA NS-10M。これだけでやってるの?と思った。

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これは編集卓。まだオープンリールのテレコ(DN3602)がある頃。

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これはSTL架。弥彦山向けで、中継局は放送波中継だったかな。

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DAD架

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さて、そのFM PORTの最後の番組では、23:50からはパーソナリティーのエンドロールがあり、最後はコールサイン、周波数を丁寧に読み上げて、JOWV-FM こちらは新潟県民エフエム、リスナーのみなさまありがとうございました」で放送終了した。

 Radikoだからオンエアの状態はわからなかったが、おそらく0時直前に送信機も止めて「砂嵐」になってしまったのでないかと思う。(放送終了の様子はyoutubeにも多数アップされており、やはり0時でぴったりで停波して、ノイズだけが残った・・寂しい)

 開局時から、東京の制作会社やパーソナリティを多く起用し、都内のスタジオからの放送も多く、開局当時から大丈夫かなという不安はあったが、それから20年近く、新潟の多くの人に愛される放送局になっていた。にわかリスナーでこれだけ感傷的になるのだから、この放送を聴いて元気づけられていたリスナーの喪失感は想像を絶するものがある。放送を支えた人たちにこれからもまだ残務がたくさんあると思うが、最後まで頑張ってほしい。本当に本当にお疲れ様でした。

 

さて、新潟県域のラジオ放送局は新潟放送と、エフエムラジオ新潟の2局体制に戻ってしまったが、エフエムラジオ新潟の最近の売り上げは年間10億を切っている状態。

https://www.fmniigata.com/ir/

FM PORTは決算を公開していないようなので、詳細不明だが、報道では5700万の赤字、累損11億(債務超過)とされている。自主制作率が高く、スリムな経営(=働く人には厳しかったかも)をしていても、年間数億の費用はかかるはずで、負債をしょってまで事業承継したい人はさすがに見つからなかったのだろう。SNSではクラウドファウンディングしたらどうかといった案も散見されるが、年間10億近い資金を集めるのも現実的ではないだろう。

ところで、新潟に県域FM局2波目の周波数を割り当てる電波監理審議会の審議の過程で、新潟県と新潟の経済界が2波目の割当を要望し、当時の郵政省もそれを後押ししていたが、利害関係者による「意見の聴取」がおこなわれ、エフエムラジオ新潟と、コミュニティ放送連盟が「反対」した経緯が経緯が残っている。

https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/policyreports/japanese/radio/91022j02.html

当時からラジオを取り巻く環境も大きく変化しているが、結果として、エフエムラジオ新潟の反対意見のようになってしまった訳で、個人的には気分が悪い。

 

 


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