電気と電子と電波の日記

自分のための備忘メモです

スピーカー修理 TANNOY mercury m1

いや~はまりましたね。我が家のリビングのオーディオシステムのスピーカー。たまにしか使われていないが、久々にCDを聴こうとしたら音が変というというクレーム。どれどれと聞いてみると、それほどでもない。アンプは先日修理したばかり。クレームはしばらく放置しておいたが、ヘビークレームに発展、ようやく「お客様相談室」が本格的な調査に重い腰を上げた。

スピーカーはTANNOYのmarcury m1。13cmウーファと2.5cmツイータの2WAY。ペアで3万円程度だが、作りはしっかりしていて、温かみのあるUKサウンド(?)を奏でるスピーカーとして名高いが、1999年製でかれこれ22年も経過している。

 改めて聞いてみると、片方のツイータ(高音用スピーカー)は蚊の鳴くような音。もう片方のツイータは全く音が出ていない。ただ揺らしたり時間をおいて聴くと音が出ているときがある。音が出ていても出力は低めでレベルが変わる。ウーファ(低音用スピーカー)は高域が出ていないので、3kHzあたりから下がった特性のナローな音になっているが、状況が変化する。なんだかわけがわからんが、おそらく接触不良だな、ということで分解を始める。スピーカーとターミナルは六角ネジで固定されており、すべて外し、スピーカーユニットとネットワークを取り出す。
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調査の結果、わかったことは

・ツイータは、ドーム型。ドームのコーティングがボロボロになっており、内部に吸音材の残骸がうっすら見える。一方は、端子の直前で断線しかかった状態。もう一方は、音声を入力しても蚊の鳴くような音しか出ない。

・ウーファは、特に問題はなさそうだが、汚れがひどい。

・ネットワークは、ツイータにつながるフィルムコンデンサ(4.7μF)は正常のようだがコイルと基板のハンダが怪しく接触不良があるようだ。ウーファとパラにつながれている、高域のインピーダンス補正をしているらしい0.33Ωのセメント抵抗+6.8μF無極性電解コンデンサだが、片方のユニットだけ電解コンデンサの容量が少なめ。容量抜けか。

 

・・と、なんだか同時多発不具合でわけがわからなくなってきた。えーい面倒だ。ということで、コンデンサは全交換。 秋葉原に行けば手っ取り早いが暇もないので、通販サイトをあさる。まずは秋月電子から。あったあったフィルムコンデンサはこれでいいや、と思ったが、、

フィルムコンデンサー 4.7μF250V: パーツ一般 秋月電子通商-電子部品・ネット通販

秋月電子にはフィルムコンデンサはあるものの8.2μFの無極性電解コンデンサが売っていない。それではと千石電商のサイトを見てみると、オーディオ用途のものがあるがやや高価。2か所に発注するとそれぞれ送料かかるのも嫌なのと、天下のTANNOY、20年越えに敬意を表し、奮発して千石電商に発注。

・PARCAudio 高品質フィルムコンデンサー(4.7μF)  DCP-FC001-470 単価  620円 X 2
・PARCAudio 高品質 両極性電解コンデンサー(8.2μF)  DCP-C001-082 単価  410円 X 2
注文の翌日には到着した。もともと装着されていたコンデンサよりも耐圧が高いのででかくなってしまった。
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とりあえず動作確認用に仮接続してチェック。

 ツイータの方は、断線しているユニットからドーム部分を丁寧に剥がしてボイスコイルを取り出すが、異物が付着していて汚れがひどい状態。シルクドームのボイスコイルは部品として売っているので、だめなら買うこともできるがここは修理にトライ。吸音材が加水分解で溶けたためなのか、溶けたコーティング剤なのか、マグネットの隙間に挟まっている。ボイスコイルはアルコールで洗浄し、細銅線を接続して導通を確認。マグネットのスリットにはアルコールをしみこませた紙片を差し込んで清掃すると茶色っぽい異物がべっとり。これって磁性流体?と思ったがこの時代のこのクラスのツイータにはそんなもの使っている?・・よくわからないがともかくきれいになるまで清掃。吸音材の残骸は剥がした。

 はがれてしまったドームのコーティング剤として、木工用ボンドを薄くまんべんなく塗布。一晩乾燥させてチェックすると、2つのツイーターに音量差がある。コイルの芯だしを調整してもだめ。ドームの硬さに差があるようなので、木工用ボンドを塗りなおし、乾燥後チェックしてらほぼ同じような音量になった。ドーム周辺にボンドを縫って接着。そういえば吸音材を貼るのを忘れてしまった。これだと固い音、妙な歪が出そうだが、まずはこの状態で試してみる。

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スピーカーとネットワークを仮接続して組み立て前の音出しチェック。問題なさそうなのでスピーカーとネットワークを取り付けてしばらくエージング

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数時間鳴らしているとだんだん息を吹き返してきた。ちょっとハイ上がり気味な特性に変わった気がするが、満足できる音が復活。メモったネットワークの回路図も載せておく。
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このスピーカーをチューンされた方のブログがあったのでこちらも参考にどうぞ。

TANNOY mercury m1 極みチューン!!!

 

話のついでにリビングのオーディオシステムを過去記事から紹介しておきます。

アンプ

CDプレーヤー

FMチューナーはアキュフェーズのT-105です。