電気と電子と電波の日記

自分のための備忘メモです

ATEMmini用のワイヤレスタリーの製作

ATEMminiを使用したライブ配信で、カメラマンをやっていただく場合、タリーが欲しくなる。Blackmagic Designのデベロッパーサイトでは、スイッチャを制御するためのSDKが提供されていて、これを学べばなんとかなるのかなと考えていた。

www.blackmagicdesign.com

が、改めてネットを漁ると、WiFiを使ったワイヤレスタリーの作例がわんさか。スイッチャの話だけあってyoutubeにも動画が多く上がっており、M5StackやM5Coreを使用したものの中にはビジネスにしてる人もいる。

今回は、Githubにあったコードで手持ちのESP8266(ESP-WROOM02)を使って、試してみた。

 

github.com

↑ここにあるコードで使うのは、

ATEM_tally_light.ino

libraries/にあるライブラリ4つ

ATEMbase

ATEMmin

SkaarhojPgmspac eallyServer

TallySaver

GitHubからzipでダウンロードして、Arduino IDEのメニュー「ライブラリをインクルード .zip形式のライブラリをインストール」でうまく読み込めなかったので、ライブラリ達は、自分のArduinoIDEのlibraryフォルダにコピーした。

ATEM_tally_light.ino

には、EPS32のコードや、neopixelといったフルカラーLEDに対応したライブラリも使うことになっているが、今回はESP8266を使い、LEDは、onairを示すの赤と、preview中であることを示すの緑がそれぞれ1個づつ光ればいいということで、不要なコードは削除した。また、ESP8266 D1ボードに対応したコードなので、ESP-WROOM2で使うには#defineで指定するpinの変更が必要。今回はGPIO4を赤 GPIO5を緑に割り当てた。コンパイルも通ったのでブレッドボード上で動作試験をしてみる。

電源いれたら初期設定 esp8266がhttpサーバーかつwifiAPになるので、Tally light Setup というSSIDWiFIアクセスポイントにPCからアクセスすることでおこなう。Tally側のIPは192.168.4.1で、そのAPに接続すると、PCは192.168.4.2が割り当てられ、ブラウザでアクセスすると設定ページが開く。

設定ページでは、スイッチャの何番の入力のタリーにするかとか、接続したいATEMminiスイッチャがいるネットワークのWiFiAPを設定する。DHCPで良ければ固定IPのチェックを外す。接続するATEMminiのIPは調べて入力する必要がある。

設定を反映すると、スイッチャに接続するはず。動作状態はシリアルモニタで見ることができる。WiFiの設定はEEPROMに格納されるので、一度設定すればOK。

設定はreadmeを見ないとわかりにくいが、LED1をnormalにして、ソースで指定したpinにLEDを接続する。いろいろいじっていたら、うまくつながった。ATEMminiの操作に応じてLEDが点灯する。これはなかなか感動ものだ。

早速、ユニバーサル基板に移植。手持ちの高輝度LED、タカチのケース、単三電池2本用の電池ボックスなど、すべて手持ち部品で一応の形になった。電池ボックスはケースの後ろに背負わせた。電池は8時間くらいは持つはず。

回路はよくある基本回路に、ソースで指定したGPIOに電流制限抵抗(470Ωとか)を入れてLEDをつないだだけ。

参考

https://www.denshi.club/pc/arduino/esp8266-iot3mqtt3.html

 

オリジナルはRGBのLED1個で色を変化させることになっているが、単色の独立したLEDが物理的に切り替わる表示の方が分かりやすいと思う。もし信号機が1つの灯器で3色表示だったらわかりにくそうだというのと同じ。

 

オリジナルの作例には、直接スイッチャに接続したタリーユニットをサーバーとしても機能させて階層的に構成する図が出てくるが、まだ試していない。

結局、先人たちのライブラリが充実していたので、ATEMminiのSDKは直接見もせず、プロトコルの概要も理解せずにここまでできてしまった。いいんだか悪いんだか。

次回の現場で使ってみます。

 

5/31追記

2台目のタリーをブレッドボードでつくり、2台目のタリーが接続するスイッチャのIPアドレスを1台目のアドレスに設定して階層的に構成したら、バッチリ動いた。

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6/6追記

先週末のライブ配信で早速運用。カメラマンとの連携がスムースになりストレスの少ない運用ができた。

 

 

 

Eスポ日記 5/27

5/27の夕方。これまた凄いイオノグラム。50MHzで宮城や福島など300Km以内の強力な伝搬がある。FT8で電波を出すと国内の広範囲からレポートがあっただけでなく、なんとフィンランドからのレポート。交信できなかったが驚いた。スポラディックE層のマルチホップなのでしょうか。
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IC-12N修理 "無変調"の修理

 このIC-12Nだが、送信しても変調がかからない。そもそも回路図を持っていないのと、部品番号のシルク印刷の無い基板なので、回路が追いにくい。基板を裏返したりして見ていると、フレキシブルケーブルが断線しそう。PLL基板を覗くために、シールド板外したら、クモの巣があった。f:id:t1000zawa:20220513190332j:image
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 回路図は無いものの、ブロックダイアグラムはネットで拾えた。MICラインとおぼしき部分を触ってみても変調音にノイズも乗らない。そこでVCOの入り口にあるデビエーション調整用の半固定抵抗R344周辺を触るとノイズが載る。ここに外部から音声信号を入れると変調がかかる。この周辺を追っていくと半固定抵抗R344が断線していることがわかった。R344をバイパスして固定抵抗を仮接続すると、無事変調がかかった。このサイズの半固定抵抗はないので、とりあえず固定抵抗で暫定修復した。

 

液晶のランプは電球色LED+560Ωに交換した。

いちおう、気になっていた部分の修理はできたが、こんないつ壊れるかわからない無線機をわざわざ保証認定受けて送信機増設するか、悩むな。

 

 

IC-12N修理 ボリュームの部品移植

IC-12NのRIT/VXOボリュームの修理。あきらめムードだったがファイト一発とばかりにネットを漁っていたら、ALPSの9.5mm角 50kΩB スイッチつきのボリューム2個500円を発見。IC-12Nのボリュームと仕様は全く違うが、抵抗体(カーボンの抵抗体のパターンが載っている3端子の基板)や摺動部品(金属の接点のついた白い部品)のドナーならないかなあと思い、淡い期待を胸に購入。

到着後早速分解。抵抗体は形状が同じだが抵抗値が違うから最悪使うとして、摺動部品も似た形のものが出てきた。IC-12Nのボリューム部品と組み合わせて試していたら、どうも寸法が合わない。そこでセンタークリックの板バネを外し、筐体内(緑色の部分)の回転のストッパーのための突起を削ると、摺動部品が収まった。抵抗体はオリジナルのものを再利用。(肝心な部分の写真撮り損ねました)

テスターでテストするとスムースに抵抗値が変化する。センタークリックは犠牲になるが、使えそう。

VR基板に実装して本体に組み込み。配線が面倒。

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配線チェック後電源入れると、ボリュームは正常に動作しているようでRIT/VXOも機能しているようだ。

次は変調かからない問題の調査。疲れるな。

 

(参考)VRに至るリード線色をメモ

 

IC-12N修理 ボリューム スペックメモ

ICOMの1200MHzトランシーバーIC-12N。

最近ジャンク入手し1台手元にあるのだが、受信はできるが変調がかかる場合とだめな場合がある、スケルチは正常だがRIT/VXOがだめ、液晶ランプ切れなど不具合を抱えている。気になるので修理着手

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RIT/VXOがダメなのはおそらくALPS製のボリュームの不良で、この機種特有の症状。実際抵抗値を測定するとスムースに変化しない。修理部品や代替品は無いようで、泣く泣く分解して修理している人が多い。私も、苦労してこのボリュームを取り外して、分解し、外れていた摺動接点を洗浄して瞬間接着剤で接着し組立たが、抵抗体が摩耗しているらしく復活せず。

スケルチじゃなくてRIT/VXOだから、ガマンして修理やめとけばよかった。めんどくさいなあ。どっかに在庫ないかなあ。


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ALPSの類似製品の仕様を参考に、このボリュームの仕様を書き出してみた。もし特注できたとしても最小ロットは700個・・。

 

■仕様

9型金属軸多連タイプ RK097

2連(各軸単連)

 

操作部方向:水平

軸受固定方法:ねじ止め

 

外軸仕様 

操作部形状:溝軸

軸径:6mm

操作部長さ:5mm

センタクリック:なし

全抵抗値:10KΩ

 

内軸仕様 

操作部形状:平軸

軸径:3.5mm

操作部長さ:10mm

センタクリック:あり

全抵抗値:10KΩ

 

■軸形状

LB=5mm

L2=10mm

L1=15mm

l1=4mm

l2=4mm

 

■端子

R1とR2の端子間距離 10mm

https://tech.alpsalpine.com/prod/j/pdf/potentiometer/rotarypotentiometers/rk097/rk097.pdf

あの遊覧船の無線設備2

 

あの遊覧船は総トン数19トンだから「小型船舶」で、「小型船舶」の法定備品は

法定備品 | 検査制度 | 日本小型船舶検査機構

小型船舶用法定備品一覧表(1,266KB)

https://jci.go.jp/inspection/pdf/houteibihin.pdf

の通りで、そのうち無線設備の搭載要件はここを見ればわかる。

小型船舶に搭載する無線設備(搭載要件の一例)(266KB)

https://jci.go.jp/inspection/pdf/houteibihin_musen.pdf

 あの遊覧船は、少なくともケータイ(携帯・自動車電話)を搭載していることで、4月20日の船舶検査(中間検査)を合格している、といった報道がなされていることから、「表 小型船舶に搭載する無線設備」を逆に見ていくと、あの船舶の「種類、海域および航行区域」は、「旅客船」「A2以内」「平水・限定沿海」に分類されるらしい。

A2海域というのは、

https://jci.go.jp/areamap/pdf_etc/enkai_a2.pdf

のこと

限定沿海というのは、沿海区域のうち、母港から最大速力で2時間以内に帰ってこれる海域のことで、船の最大速力ごとに範囲が決まることになっている。具体的な海域は

航行区域検索ページ(限定沿海) | 航行区域参考図 | 日本小型船舶検査機構

で調べられる。

北海道斜里町ウトロを母港とした場合、最大速力10ノット場合

https://jci.go.jp/areamap/pdf/010025010.pdf

最大速力15ノットの場合

https://jci.go.jp/areamap/pdf/010025015.pdf

の範囲が「限定沿海」の航行区域となる。f:id:t1000zawa:20220430170544j:image

 

 

あの遊覧船の速力性能は不明だが、おそらく最大速力10ノットの場合の区域が航行できれば遊覧船としての営業上は充分なのだろう。

 

限定された沿海を航行区域とする小型船舶だから、旅客船であっても、必要な無線設備は「携帯・自動車電話」だけで良いという分類になるのだが‥。

 

△:限定沿海船にあっては、母港がサービスエリア内にあるものに限る。ただし、携帯・自動車電話は主要航路で通信可能な場合に限る(主要航路等申告書の提出が必要。)。

 

というように、主要航路で通信可能かどうかがチェックすることになっている。知床半島のケータイの通信事情が良くないのは、一般にも良く知られていることで、日本小型船舶検査機構(JCI)が、航行区域内で「ケータイが通信可能」と判断した根拠が気になる。

NTTドコモのエリアマップによればLTE/3Gは海上もカバーしているようだ。

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次いでKDDI(au)はどうか、陸上も海上もウトロから北側はカバーしていない。

ソフトバンクもほぼ同様

 

 実際、事故直前に携帯電話が使用されたという報道もあるが、おそらくNTTドコモの携帯電話なのだろう。 

報道によれば、船長が所有していた携帯電話はKDDIのものだったらしい。そうだとすると航行区域で通信圏外であることは日常的に知っていたはずである。

 私の所有する小型船舶も、法定備品としての無線設備は「携帯・自動車電話」なのですが船舶検査の経験では、検査員から携帯キャリアはどの会社か、3Gか4GLTEかという質問があり、実機をチェックをしていた。

 

(追記)日本小型船舶検査機構の「内規」では、携帯・自動車電話のエリア図の確認はせず、自己申告でOKとしていたらしい。

www3.nhk.or.jp

 

北海道斜里町を管轄する日本小型船舶機構(JCI)は札幌支部で、道南以外の広大なエリアをカバーしている。最近の検査日程はこれ。

https://jci.go.jp/branch/pdf/info_sapporo_2022_R031223.pdf

わざわざ札幌から検査員を派遣するのか、地域毎に検査員がいるのか。もし地域の事情を知っている検査員なら、あの船の航行区域が携帯・自動車電話だけでは不安なのはわかると思う。

いずれにしても、今回の事故で船検の甘さがクローズアップされ、今後厳しくなりそうだ。

 

【追記】日本小型船舶検査機構札幌支部、苦しい説明をしているな。

日本小型船舶検査機構の札幌支部長の発言

「検査は船舶安全法に基づき適正に行われたと認識している。エリア外になっていても通じることがあると聞いている。虚偽報告があっても調べられない」

news.yahoo.co.jp

 

ちなみに私が所有する小型船舶は、個人の船なのでアマチュア無線も通信手段として認められている。以前は国際VHF(特定船舶局)の免許を受けていたが、現在は閉局しているが、また復活しようかな。

t1000zawa.hatenadiary.jp

 

t1000zawa.hatenadiary.jp